サブスクリプションビジネスにおけるERPの4つの失敗例

ガイド
Rebecca Blankenship
1 9月 2016
1 min read
サブスクリプションビジネスにおけるERPの4つの失敗例

成長中のサブスクリプションビジネスで、成長に伴う課題に直面している場合、最初に考えるのはERPシステムのアップグレードかもしれません。財務やオペレーション部門が取引や手作業に追われていると、より優れた財務システムが解決策だと思いがちです。

しかし、それは違います。

確かにバックオフィスは苦労していますが、それはより大きな問題の「症状」であり、根本原因ではありません。ERPのアップグレードに直行するのは正しい解決策ではありません。

本質的な課題は「顧客課題」です。

プロダクト経済では、すべての注文が新規販売と見なされていました。しかし、サブスクリプション経済においては、販売は継続的な顧客関係を中心に展開されるため、より複雑です。新しい注文は新規販売である場合もあれば、既存サブスクリプションのアップグレードやダウングレード、更新、解約など、あらゆる変更を指す場合もあります。

Product vs Subscription Snapshot

これは、サブスクライバーを中心に構築された新しいビジネスモデルです。そして、従来型のERPシステムでは、このモデルを管理することはできません。

サブスクリプションビジネスには、これらすべての変更を追跡し、その情報を他のシステムへフィードバックできる仕組みが必要です。

実際のところ、まずはサブスクリプション請求管理に注力する必要があります。

サブスクリプションビジネスの本質は、継続的な顧客関係を管理することにあります。そのためには、顧客視点と財務視点の両面から、サブスクリプションビジネスのあらゆる側面――新規購入や追加オプションだけでなく、請求や支払い、価格設定の実験やサブスクライバー分析など――を一元的に管理できるシステムが不可欠です。

ある時点で、企業の成長に伴い、ERPでは対応しきれない重大な課題に直面することになります。ここでERPが貴社にとって不十分である理由をご説明します。

1. 顧客情報の一元化ができない。

課題
複数の異なるシステム間で情報連携が行われていません。そのため、月次経常収益(MRR)、年次経常収益(ARR)、年間契約価値(ACV)などの業績指標を算出するのが困難です。また、顧客の実態を正確に把握できず、解約率の低減やアップセル・クロスセルの増加につながるような有意義な関係構築も難しくなります。

ERPの限界
ERPは製品管理のために設計されており、顧客関係の管理には適していません。サブスクリプション経済では、顧客関係を測定し収益化する新たな手法が求められています。

解決策
サブスクリプションライフサイクル全体を一元管理できるシステムを導入することで、例えば、オンラインで登録し、席数を追加し、その後営業担当に連絡して大規模な契約を結ぶといった一連の顧客情報を一つの画面で把握できます。

2. システム間の連携が取れていない。

課題
フロントオフィスとバックオフィスのシステムが連携していません。例えば、Salesforce上の顧客情報と財務管理システム上の同一顧客情報を紐付けるのが困難です。真の顧客マスターが存在しません。Proバージョンを購入した「X社」と、月額20万円の請求書を支払っている「X社」が本当に同じ企業であるか、把握できていないのです。

ERPの限界
ERPでは、「スイベルチェアインターフェース」(システム間を行き来する物理的な動作)を解消できません。複雑な手作業による一時的な対応は可能ですが、長期的な解決策にはなりません。

解決策
見積から入金まで、各システムを一元的に連携させる単一のシステムが必要です。

3. 請求・回収業務の増加。

課題
財務チームがスプレッドシートで行う手作業が膨大になっています。この手作業の増加はシステム間の連携不足だけでなく、事業拡大によるものでもあります。顧客数が増えると、処理すべき取引件数も指数関数的に増加します。財務チームだけでは対応しきれず、人件費も大きな負担となります。

例えば、Dyn社COOのGray Chunoweth氏は「顧客500社ごとに請求担当者を1人追加する必要があり、同じ作業を繰り返すだけの人員が増えていた」と述べています。

transactions in product vs subscription

ERPの限界
ERPは定期請求機能を有すると謳っていますが、これは中核機能ではありません。

解決策
請求・回収業務が拡大する中で、さまざまなプランや契約条件、多様な決済方法に柔軟に対応し、急成長にも耐えうる拡張性を持つシステムが必要です。

4. 収益管理の困難さ。

課題
サブスクリプションのライフサイクル全体で、平均して26回の収益関連取引が発生します。新規契約、席数追加、ダウングレード、上限超過による追加請求、上位エディションへのアップグレードなど、これらはすべて収益に関わる取引であり、システムで管理する必要があります。これが顧客数の増加とともに膨大になり、複雑なスプレッドシートでは対応しきれなくなります。

ERPの限界
ERPは「企業は製品を販売する」という前提で設計されているため、基幹業務やワークフローもこの考え方に基づいています。そのため、契約更新やアップグレード、追加オプションなど、サブスクリプションサービス特有の収益管理には対応できません。

解決策
現代のサブスクリプションビジネスの成功は、受注・請求・キャッシュフロー・収益のつながりを的確に把握できるかどうかにかかっています。システムがこれらを連携できなければ、最終的な利益にも悪影響を及ぼします。

サブスクリプションビジネスは、数多くのシステムが相互に連携することに依存しています。成長戦略を支えるために適切なシステムを選定することはもちろん、システム導入の順序を適切に計画することも極めて重要です。

財務上の課題を解決する前に、サブスクリプションビジネスはまず顧客の課題に注目する必要があります。

例えば、B2Bデータセキュリティ企業でありZuoraの顧客でもあるBettercloudの事例をご覧ください。

課題
Bettercloudは、財務・バックオフィスシステムよりも先にZuoraを導入しました。なぜなら、まずサブスクリプション管理の課題を解決する必要があると認識していたからです。

解決策
Zuoraを最初に導入したことで、3,000万のエンドユーザーを抱えながらも、財務チームはわずか2.5人のフルタイム社員で毎月5日間で決算を締めることができるようになりました。また、創業から7年間、Bettercloudは毎年100%の成長を継続しています。

新しいERPでこれが実現できるでしょうか?