既存の契約者による収益はどれくらいか

リカーリング収益の本質

Subscribed Instituteの主要な使命の一つは、企業がUsership™への道のりのさまざまな段階で成功するためのリーディングプラクティスや成功の要因を特定し、支援することです。新規立ち上げ、最適化、スケール、リーダーシップのいずれの段階であっても、サブスクリプションエコノミー®における成功は、顧客を繰り返し満足させる企業の能力にかかっています。

顧客中心主義は、サブスクリプションビジネスを従来型ビジネスと差別化する要素です。多くの企業が顧客中心を掲げてはいるものの、実際には多くの企業が、できる限り効率的なチャネルを通じて、製品や機能の単位を顧客に販売することを主目的とした、直線的かつ取引志向のビジネスモデルで運営されています。リピーター顧客はもちろんプラス要素ですが、従来型ビジネスでは、製品の利用による価値実現のリスクを販売時点で顧客に転嫁しています。つまり、顧客がどのように製品を使い、どれだけ満足するかは、最終的には企業の収益に影響しません(ただし、顧客体験が悪い場合は紹介が減る可能性があります)。

一方、サブスクリプションビジネスでは、収益は時間をかけて実現されます。企業の成功は、有料会員数の増加と顧客生涯価値(CLV)の向上にかかっています。サブスクリプションビジネスにおける収益化の主要な3つのレバーは、会員獲得、維持、そして拡大(顧客価値の成長)です。

企業がリソース配分を検討する際、「既存会員が企業収益にどれだけ貢献しているのか?」という問いに直面することがあります。

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既存会員は企業収益にどれだけ貢献しているのか?

Zuora® Subscribed Instituteは、この問いに答えるため、891社以上の企業を対象に複数四半期にわたりデータを分析しました。各企業ごとに、新規会員と既存会員が生み出す収益を特定しました。その結果、既存会員(前期間にアクティブだった会員)は、企業の年間経常収益(ARR)の平均76%、一般的には70%から81%を生み出していることが分かりました。

多くのサブスクリプションビジネスと関わる中で、既存会員が生み出す収益の割合は、ビジネスの成熟度と相関しているのではないかと考えました。この仮説を検証するため、サブスクリプションビジネスをARR規模別に4つのグループ(1,000万ドル未満、1,000万ドル以上5,000万ドル未満、5,000万ドル以上1億ドル未満、1億ドル以上)に分類しました。この分析(図1参照)から、規模の小さいサブスクリプションビジネスは、既存会員による収益割合が74~77%と、より成熟したサブスクリプションビジネス(80~81%)よりも低いことが示されました。つまり、企業が成長し、顧客基盤が強固になるほど、将来の収益の多くは新規会員ではなく既存会員からもたらされるようになります。

ARR Bands of Existing Subscriber Revenue
図1

また、B2BとB2Cの違いも分析しました(図2参照)。消費者向けビジネスは、解約率が高く新規会員獲得が多いため、既存会員による収益割合が70%と低い傾向にあります。一方、法人および消費者の両方を対象とするビジネス(B2Any)は、既存会員による収益割合が87%と、B2B単独(77%)よりもはるかに高い結果となりました。

Existing Subscriber Revenue by Business Model
図2

さらに、5つの業界セクター別に既存会員による収益を分析したところ(図3参照)、製造業を除くすべての業界で同様の割合となりました(新興、ハイテク、メディア、その他の4業界では、既存会員がARRの80~83%を占め、新規会員は17~20%)。一方、製造業では既存会員によるARRの割合が57%にとどまりました。この比較的低い割合は、多くの製造業がサブスクリプション事業の初期段階にあり、収益成長を新規獲得に大きく依存しているためと考えられます。

Existing subscriber revenue by industry
図3

結論

サブスクリプションビジネスにおいて急速な成長は重要な目標です。リカーリング収益を基盤とするこのビジネスモデルは、従来型ビジネスよりも成長が早く、危機時にも強いという理由で選ばれることが多いです。この目標は、新規ビジネスの獲得や営業・マーケティング活動へのリソース投下の根拠となります。しかし、この重点化は既存会員を軽視するものであってはなりません。

収益の70~80%が既存会員によって生み出されている現状を踏まえ、カスタマーリテンションや拡大に注力するための体制づくりが不可欠です。グロースやデマンド部門は、顧客コミュニティ内での関係強化に注力すべきです。実際、成功しているサブスクリプションビジネスは、アップセルやクロスセルのスキルを磨いており、これらは新規顧客獲得よりも少ない労力と投資で実現できます。

前述の通り、企業がUsership™への道を進み成熟するにつれ、顧客基盤が拡大し、新規会員獲得中心からリテンション重視のバランス型戦略へと転換する必要があります。

既存の調査でも、顧客獲得コストはリテンションコストより高いことが示されています。Bain & Coによれば、顧客リテンションが5%向上すると利益は25%向上するとされています。既存会員のケアは極めて重要であり、決して軽視してはなりません。

主なポイント

  • 既存会員はサブスクリプション企業の収益の70~80%を生み出している。
  • サブスクリプションビジネスが成熟するほど、既存会員による収益割合が高くなる。
  • サブスクリプション企業が成熟するにつれ、新規顧客獲得からリテンションおよび拡大重視へと戦略転換が求められる。

業界セクター

  • ハイテクには、クラウド経由でソフトウェアを提供し、サブスクリプションで収益化する事業者(従来の永続ライセンス型からSaaSへ移行した企業を含む)が含まれます。SMB SaaS、B2Every SaaS、エンタープライズSaaS企業も該当します。
  • メディアには、コンテンツプロバイダー、OTTストリーミングメディア企業、テレビ・ラジオ放送局、ケーブル事業者、検索・ナビゲーションサービス、編集サービス、制作会社、新聞・雑誌・書籍の出版社、教育コンテンツプロバイダー、企業向け調査会社が含まれます。
  • 製造業には、製造サービス、業界特化型ソフトウェアプロバイダー、工業デザイン、重機・工具メーカーが含まれます。
  • 新興分野には、小売、金融サービス、ヘルスケア、不動産などが含まれます。
  • その他には、ビデオ会議、衛星通信、ブロードバンドネットワーク、デジタルインフラ、ファイバーネットワークセキュリティ、テクノロジー、エネルギー、運輸、科学機器、建設、経営コンサルティング、法務支援、データサービス、市場調査、人材紹介・派遣、マーケティング・広告、記録管理などが含まれます。

将来予想に関する記述について

本プレスリリースには、サブスクリプション型企業(SEIレポート掲載企業を含む)および非サブスクリプション型企業の今後の成長やトレンドに関する記述など、さまざまなリスク、不確実性、仮定を含む将来予想に関する記述が含まれています。過去の事実に関する記述でないものは、将来予想に関する記述とみなされる場合があり、実際の結果はこれらの記述と大きく異なる可能性があります。SEIレポートおよび本資料には、市場データや他の第三者(業界アナリストや市場調査会社等)による統計情報・推計も含まれています。Zuoraはこれら第三者レポートを信頼できるものと考えていますが、基礎データ、手法、仮定について独自に検証は行っていません。推計、予測、プロジェクション、市場調査、類似の手法に基づく情報は本質的に不確実性を伴い、実際の事象や状況と大きく異なる場合があります。