金融におけるAI:新たなデータが示す大きな期待、限定的な効果、そして深刻な信頼の壁

すべてのAI活用事例が同じではなく、特に金融分野では要求水準が非常に高くなります。スピードや試行錯誤が重視されるマーケティングや営業とは異なり、金融では正確性、コンプライアンス、監査可能性が求められるため、導入や価値実現までの道のりははるかに困難です。見積もりから入金までのプロセスが複雑化する中、経理・財務チームは請求書、契約書、収益の各データを手作業で再構築する時間が増えています。ほぼすべての経理・財務チームが、こうした負担を軽減するために何らかの形でAIを活用していると報告していますが、多くのリーダーはその成果に対して十分な信頼を持てず、結果がどのように導き出されているかを完全に検証することに苦慮しています。

この変化に企業がどのように対応しているかをより深く理解するため、ZuoraはThe Harris Pollに委託し、300名以上の財務・会計部門の意思決定者を対象に、AIに対する意識、信頼度、懸念について調査を実施しました。調査結果からは、高い関心と投資意欲が示される一方で、どの領域でどのようにAIを信頼すべきかについては、依然として慎重な姿勢が見受けられます。現状をご紹介します。

1. 意思決定者はAIに投資しているが、財務成果は遅れている

投資が加速するにつれて、期待も高まっています。かつては実験的と見なされていたものが、今や取締役会、投資家、経営陣からAIによる明確かつ測定可能なリターンを求められ、厳しい目で見られています。特に財務部門のリーダーは、効率向上、決算サイクルの短縮、利益率の改善など、AIの価値を数値で示すことをますます求められています。

データによれば、財務・会計の意思決定者の92%が自社の財務チームでAIツールを活用していると回答しているものの、多くの場合、目に見える成果は現れていません。

  • AIツールに投資した企業の財務・会計意思決定者のうち、現在AIツールによる測定可能な財務的効果を実感していると答えたのはわずか28%です。
  • 大多数(67%)は、現時点でまだ測定可能な財務的成果を実感していないと回答しています。
  • 37%は今後1年以内に成果が現れると期待している一方で、25%は1年以上かかると考えており、6%は財務的インパクトの測定方法が分からないと答えています。
図1:財務・会計の意思決定者がAIツールに測定可能な効果を期待する時期

出典:Zuoraの依頼によりHarris Pollが実施した、300名以上の財務・会計意思決定者への調査。

この投資と成果のギャップは、大企業ほど顕著です。従業員1,000人以上の組織の意思決定者は、AIへの投資割合が高いと報告しています(100%、従業員100人未満の組織では81%)が、それにもかかわらず、測定可能な財務的インパクトを実感していないと答える割合も高くなっています(従業員1,000人以上の組織のリーダーでは72%、従業員100人未満の組織では48%)。

大規模組織のリーダーは、AIが近い将来にインパクトをもたらすことについて楽観的ではありません。AIツールに投資した従業員1,000人以上の組織のうち、測定可能な財務的インパクトが現れるまで1年以上かかると考える割合は35%であり、従業員100人未満の企業では15%にとどまっています。

なぜ成果が遅れているのかを理解するためには、意思決定者が実際の財務業務においてAIがどこで期待に応えていないと感じているのかを確認することが重要です。

2. AIへの信頼はあるが、完全ではない

財務・会計の意思決定者の大多数(87%)が、金融分野におけるAIの約束と現実の間にギャップがあると答えています。多くの人にとって、実際の財務業務にAIを組み込むことが最大の課題となっています。

AIの成果を財務ワークフローに統合する難しさが、AIの約束と現実の間にあるギャップとして最も多く挙げられており、41%が最大の課題の一つと回答しています。また、3分の1(33%)は、AIによる結果をシステム全体で監査・説明できないことが最大のギャップの一つだとしています。

図2:金融分野のAIツールが期待に応えられていない領域

出典:Zuoraの依頼によるThe Harris Poll調査(財務・会計意思決定者300名以上対象)

3. AIへの信頼はあるが、完全ではない

AIが実際の運用で期待に応えられない場合、疑念が生じます。結果が遅れている場合、財務リーダーはどのようにしてAIを基幹的な財務ワークフローで信頼できるのでしょうか。財務の世界において、信頼は抽象的な概念ではありません。信頼は、正確性、追跡可能性、そしてコントロールによって築かれます。システムは、厳格な監査や規制の枠組みの中で検証・説明・整合が可能なアウトプットを出さなければなりません。AIがその基準を満たせない場合、リスクを低減するどころか、むしろリスクを増大させることになります。

データによれば、AIツールを活用している財務チームのリーダーは一定の自信を持っているものの、完全な信頼には至っていません。自社の財務チームが現在使用しているAIツールが既存の財務統制や監査フレームワーク内で機能すると「非常に自信がある」と回答したのはわずか43%にとどまります。「ある程度自信がある(46%)」や「まったく/あまり自信がない(11%)」と回答した人が多数を占めています。財務の分野では、このような疑念は導入の遅れだけでなく、AIへの投資がまだ測定可能な成果に結びついていない理由の一つとも言えるでしょう。

こうした自信の欠如は、基幹的な財務プロセスにAIを活用することに対する具体的な懸念が要因となっています。

図3:財務分野におけるAIツールの管理・監査対応に対する信頼度

出典:Zuoraの依頼によるThe Harris Poll調査(財務・会計意思決定者300名以上対象)

4. ほぼすべての意思決定者が、AIを基幹財務プロセスに利用することに懸念を抱いている

役割の性質を考えれば、財務・会計リーダーがミッションクリティカルな業務にAIを適用することに慎重になるのは当然です。しかし、データから明らかになったほぼ全員の懸念は、このためらいがより深刻な信頼の壁を示唆していることを物語っています。

図4:基幹財務プロセスにAIを活用する際の主な懸念事項

出典:Zuoraの依頼によりHarris Pollが実施した、300名以上の財務・会計意思決定者を対象とした調査。

財務・会計の意思決定者の大多数(91%)が、収益認識、見積から入金まで(Quote-to-Cash)、財務判断などの主要な財務プロセスにAIを活用することに懸念を抱いています。

さらに詳しく見ると、これらの懸念は抽象的なものではなく、具体的かつ重大なリスクに根ざしています。主要な財務プロセスの運用にAIを利用する際の上位3つの懸念事項は以下の通りです:

  1. サイバーセキュリティおよびデータプライバシー(45%)
  2. 適切な人的監督の欠如(38%)
  3. データの品質・完全性・信頼性の問題(36%)

 

これらは、財務分野における根本的な要件を浮き彫りにしています。すなわち、システムは厳格な管理下で運用され、一貫性があり監査可能な結果を提供しなければならず、AIもこの要件から例外ではありません。

これらの懸念の根底には、AIの導入方法があります。信頼できる財務システムの外部でAIが提供される場合、リスクが生じます。

5. AIの提供方法が信頼に大きく影響

これまで、多くの財務チームがAIを試験的に導入する際、基幹システムの上にレイヤーとして重ねるポイントソリューションしか利用できませんでした。データはエクスポートされ、他の場所で加工され、再びシステムに戻されるため、監査証跡にギャップが生じ、統合リスクが高まり、セキュリティやプライバシーの問題が拡大します。これらのツールは、エンドツーエンドの見積もりから入金までのデータを把握することも、収益認識ルールや契約条件、業界特有の文脈を理解することもほとんどありません。こうした状況が長らく続いてきたため、財務部門のリーダーがAIをなかなか信頼できなかったのも無理はありません。

それでは、「信頼できるAI」とは財務の文脈で実際にどのようなものなのでしょうか。データによると、既存システムに直接組み込まれたAIへのニーズが高いことが示されています。財務・会計の意思決定者の過半数(53%)が、AIツールを評価する際、自社で構築したAIソリューション(25%)やAIネイティブのソリューション(13%)よりも、既存ソリューションに組み込まれたAI機能を最も信頼できると回答しています。

財務における信頼できるAIは、基幹システムからの完全かつリアルタイムなデータを活用し、既存の権限やコントロールを継承し、根拠となる取引まで遡れる説明可能なアウトプットを生成する必要があります—すべてが財務ロジックに基づき、汎用的な機械学習ではないことが求められます。

図5:財務・会計分野におけるAIソリューションへの信頼度
ハリス・ポール調査:金融・会計分野におけるAIソリューションへの信頼度を示すチャート

出典:Zuoraの依頼によりThe Harris Pollが実施した、300名以上の財務・会計意思決定者への調査。

これがZuora AIのアプローチです。見積もりから入金までの重要な財務プロセスにインテリジェンスを直接組み込むことで、Zuora AIは管理された透明性の高い監査可能なワークフロー内でインサイトと自動化を提供します。複雑さを増やすのではなく、既存の財務基幹システムにAIを組み込むことで、信頼性の高い業務運用を実現します。

AIを安全に業務運用へ活用する方法について詳しく知りたい方は、4月23日開催のウェビナー「見積もりから入金までのAI活用:財務部門が知っておくべきこと」にご参加いただくか、zuora.com/jpをご覧ください。

調査方法

本調査は、2026年3月18日から25日にかけて、The Harris PollがZuoraの依頼により米国国内で実施したオンライン調査です。対象は21歳以上の財務・会計意思決定者(意思決定に少なくとも関与している方)321名です。Harrisのオンライン調査のサンプリング精度はベイズ信頼区間で測定されます。本調査では、サンプルデータの精度は95%信頼水準で±6.4ポイント以内です。調査手法の詳細(重み付け変数やサブグループのサンプルサイズを含む)については、Margaret Juhnke(mpack@zuora.com)までお問い合わせください。